ピヴラッツ®点滴静注液150mg

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国内第Ⅲ相試験(クリッピング術後患者)(AC-054-306試験)試験概要/患者背景

承認時評価資料:脳動脈瘤によるくも膜下出血のクリッピング患者を対象とした第Ⅲ相試験
Endo H, et al.: J Neurosurg. 2022; 137(6): 1707-1717.
COI:本研究はIdorsia Pharmaceuticals Japanの資金により行われた。
著者はIdorsia Pharmaceuticals Japanよりコンサルタント料等を受領している。

試験概要

目的 脳動脈瘤によるくも膜下出血(aSAH)のクリッピング術後患者に対して、ピヴラッツ®投与時の脳血管攣縮関連事象及び原因を問わない死亡発現割合がプラセボに比べて低下することを検証した。
試験デザイン 多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、第Ⅲ相試験
対象 aSAHのクリッピング術後患者221例
術前のWFNS分類Ⅰ~Ⅳ及びFisher分類3の患者を対象とし、術後に脳血管領域の1/3以上を侵す広範囲な脳梗塞を認めた患者は除外した。
プラセボ群111例、ピヴラッツ®10mg/時群109例(プラセボ群の未投与の1例を除外)
試験方法 対象患者を、重症度(WFNS分類Ⅰ~Ⅳ)を割付因子として、プラセボ群又はピヴラッツ®10mg/時群に1:1の比で最小化法の動的割付けを行った。aSAH発症後48時間以内に投与を開始し、aSAH発症日を0日として14日目まで(最大15日間)静脈内持続投与した。
DSA及びCT画像は、各医療機関で匿名化され、画像中央判定委員会が脳血管攣縮の有無、新規脳梗塞の発現及び脳血管攣縮と新規脳梗塞との関連性を評価した。何らかの理由でDSA又はCTの画像が得られず、MRA、3D-CTA、TCD等の画像が提出された場合は、イベント評価委員会が、これらの画像に基づいて脳血管攣縮の有無、新規脳梗塞に該当するか否かの評価、脳血管攣縮と新規脳梗塞との因果関係を評価した。イベント評価委員会は、実施医療機関から提出された内容を鑑み、DIND発現の有無及び救済療法の開始の適切性を確認した。また、死亡、新規脳梗塞(上記、何らかの理由でDSA又はCTの画像が得られない場合)、DIND、救済療法の開始の4項目に対して脳血管攣縮との関係を評価した。いずれの評価も盲検下で行われている。
評価項目
主要評価項目 (1)治験薬投与開始からaSAH発症後6週までに、以下のイベント(以下、「脳血管攣縮に関連したMorbidity/Mortalityイベント」と表記)を一つ以上発現した患者の割合
  • 死亡(原因を問わない)
  • 脳血管攣縮に関連した新規脳梗塞
  • 脳血管攣縮に関連した遅発性虚血性神経脱落症状(DIND)
(2)上記(1)が検証された場合に、階層型閉検定手順を用いて、治験薬投与開始からaSAH発症後6週までに、以下のあらゆる理由によるイベント(以下、「あらゆる理由によるMorbidity/Mortalityイベント」と表記)を一つ以上発現した患者の割合
  • 死亡
  • 新規脳梗塞
  • DIND
副次評価項目
  • aSAH発症後6週までの脳血管攣縮に関連したMorbidity/Mortalityイベントを構成する個々の項目を発現した患者の割合
  • aSAH発症後6週までに発現したあらゆる理由によるMorbidity/Mortalityイベントを構成する個々の項目を発現した患者の割合
  • aSAH発症後12週の予後(GOSE、mRS)及び認知機能(MMSE)、及び予後(GOSE、mRSスコア)不良の割合
  • aSAH発症後14日までに発現した中等度以上の脳血管攣縮を発現した患者の割合
探索的評価項目
  • aSAH発症後14日までに発現した近位血管及び遠位血管での脳血管攣縮を発現した患者の割合 など
安全性評価項目
  • aSAH 発症後12 週までに発現した死亡
  • 治療下で発現した、治験薬投与終了(中止)後30日までの有害事象及び重篤な有害事象
  • 治験薬投与中止に至った有害事象 など
解析計画
主要評価項目 帰無仮説H01及びH02を設定し、階層型閉検定手順を用いて、まずH01を検定し、H01が棄却された場合、H02を検定した。
  • H01: 脳血管攣縮に関連したMorbidity/Mortalityの複合イベントを発現した患者の割合は、ピヴラッツ®群とプラセボ群で差がない
  • H02: あらゆる理由によるMorbidity/Mortalityの複合イベントを発現した患者の割合は、ピヴラッツ®群とプラセボ群で差がない
二つの主要評価項目の解析にはmodified Intension To TreatであるFASを用いた。
各検定の有意水準は両側5%とした。主要評価項目である「脳血管攣縮に関連したMorbidity/Mortalityイベントもしくはあらゆる理由によるMorbidity/Mortalityイベント」は、効果/効果不十分に起因する欠測はなく、偶然的な同意撤回など欠測が主に発生するMissing Completely At Random(MCAR)を仮定できると想定し、欠測の補完は行わないこととし、不整なデータは欠測とみなした。
割付因子である術前のWFNS分類(4区分)を共変量として脳血管攣縮に関連したMorbidity/Mortalityイベントもしくはあらゆる理由によるMorbidity/Mortalityイベントを一つ以上発現した割合についてCochran-Mantel-Haenszel(CMH)検定を行った。
副次評価項目
  • 脳血管攣縮に関連したMorbidity/Mortalityイベントもしくはあらゆる理由によるMorbidity/Mortalityイベントを構成する個々の項目を発現した患者の割合は、術前のWFNS分類(4区分)を共変量としてCMH検定を行った。
  • aSAH発症後12週のmRS、GOSE、MMSEは、術前のWFNS分類(4区分)を共変量としてCMH検定を行った。
  • aSAH発症後12週のGOSEスコア不良(4以下)、mRSスコア不良(3以上)の割合についてFisherの正確確率検定を行った。
  • aSAH発症後14日までに発現した中等度以上の脳血管攣縮を発現した患者の割合についてCMH検定を行った。
サブグループ解析
  • 術後WFNS重症度の各分類や血腫の大きさなどをサブグループとして脳血管攣縮に関連したMorbidity/Mortalityイベントを発現した患者の割合を推定した。
探索的評価項目
  • 主要評価項目、副次評価項目の解析方法に従って解析を行った。

DIND:Delayed Ischemic Neurological Deficit(遅発性虚血性神経脱落症状)
GOSE:Glasgow Outcome Scale Extended version(グラスゴー・アウトカム・スケール拡張版)
mRS:modified Rankin Scale(修正ランキン・スケール) MMSE:Mini-Mental State Examination(精神状態短時間検査-日本版)

AC-054-306試験デザイン

AC-054-306試験デザイン
a DSAは、スクリーニング時及びaSAH発症後9±2日に実施した。また、これ以外で、治験薬投与開始からaSAH発症後6週までに救済療法を実施する場合や、DIND等脳血管攣縮を示唆する臨床所見を確認した場合等に実施した。 b CTは、スクリーニング時、クリッピング術後24~48時間後、aSAH発症後6週に実施した。また、手術後~無作為化前に鎮静等により術後のWFNS 分類が評価できない場合には手術後~無作為化前にCTを実施した。 c 何らかの理由によりaSAH発症後6週のCTが撮影できなかった場合や治験薬投与開始前からaSAH発症後6週までに救済療法を実施した場合などには規定外CTを実施した。

脳血管攣縮の重症度の定義

脳血管攣縮は、デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィ法(DSA)で評価し、スクリーニング時のDSA画像と比べた動脈内径の減少率が34%以上を中等度以上と定義した。

患者背景

患者背景
mGCS:modified Glasgow Coma Scale(修正グラスゴー・コーマ・スケール)
mRS:modified Rankin Scale(修正ランキン・スケール)
NIHSS:National Institutes of Health Stroke Scale(米国国立衛生研究所脳卒中スケール) WFNS:World Federation of Neurosurgical
Surgeons(世界脳神経外科学会連合) aSAH:Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage(脳動脈瘤によるくも膜下出血) ※:血腫の大きさ・・・ 血液塊なし:短軸<1mm
局在性で薄い:長軸<20mm、1mm≦短軸<4mm
局在性で厚い:長軸<20mm、短軸≧4mm
びまん性で薄い:長軸≧20mm又は両脳半球に広がる、1mm≦短軸<4mm
びまん性で厚い:長軸≧20mm又は両脳半球に広がる、短軸≧4mm

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