ピヴラッツ®点滴静注液150mg

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開発の経緯

ピヴラッツ®点滴静注液150mg(以下、ピヴラッツ®:一般名 クラゾセンタンナトリウム)は、「脳動脈瘤によるくも膜下出血術後の脳血管攣縮、及びこれに伴う脳梗塞及び脳虚血症状の発症抑制」を効能又は効果とする選択的エンドセリン(ET)受容体拮抗薬です。ETB受容体よりもETA受容体に約1,000倍の結合親和性を有することが示されています1)

脳動脈瘤によるくも膜下出血(aneurysmal subarachnoid hemorrhage:aSAH)は、くも膜下出血の85%を占め2)、日本人の発症ピークは50歳代と報告されています3)。また、aSAH発症4~14日後には40%~70%の頻度で脳血管攣縮が発現すると報告されており4)、脳血管攣縮を発現すると、17%~40%で遅発性虚血性神経脱落症状(Delayed Ischemic Neurological Deficit:DIND)を呈し、そのうち約半数の患者が脳梗塞に至ると報告されています5)。脳血管攣縮の発現メカニズムは未だ十分明らかにはされていませんが、aSAH発症後に酸化ヘモグロビン誘発性のエンドセリン産生及び赤血球からのエンドセリン放出の双方により、強力かつ持続的な血管収縮物質であるエンドセリンの濃度が上昇し、ETA受容体を介して脳血管攣縮を発症すると考えられています。

Idorsia Pharmaceuticals Ltdでは、選択的ETA受容体拮抗薬であるピヴラッツ®の脳血管攣縮の 予防効果を期待して、1997年より開発に着手しました。第Ⅰ相試験は海外で11試験を実施し、健康成人や重度腎機能障害患者、軽度~重度肝機能障害患者を対象に、安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学を検討しました。aSAH患者を対象とした第Ⅱ相試験は、日韓共同で1試験、海外では4試験を実施し、脳血管攣縮の発現割合を減少させることを確認しました。第Ⅰ相、第Ⅱ相試験の結果を踏まえ、国内第Ⅲ相試験の二つの試験では、臨床的アウトカムに基づく検証をするために、脳血管攣縮の抑制だけでなく、脳血管攣縮に関連した新規脳梗塞やDINDの発現及び原因を問わない死亡を主要評価項目として設定し、aSAHのコイリング術後患者及びクリッピング術後患者を対象に検証試験を実施しました。その結果、主要評価項目において、ピヴラッツ®10mg/時投与によりプラセボと比較して有意な発症抑制が検証されました。

以上より、効能又は効果を「脳動脈瘤によるくも膜下出血術後の脳血管攣縮、及びこれに伴う脳梗塞及び脳虚血症状の発症抑制」として申請を行い、2022年1月に製造販売承認を取得しました。

1)Roux S, et al.: J Pharmacol Exp Ther. 1997; 283(3): 1110-1118.
2)日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会 編:脳卒中治療ガイドライン2021. 協和企画; 2021; 152.
3)井川房夫ほか:脳卒中の外科 2015; 43: 262-266.
4)Daou BJ, et al.: CNS Neurosci Ther. 2019; 25(10): 1096-1112.
5)de Oliveira JG, et al.: Neurosurg Rev. 2007; 30(1): 22-30.

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